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岡崎体育的『MUSIC VIDEO』論 その2

こちら。


岡崎体育 『MUSIC VIDEO』Music Video

 

まず岡崎体育の元のMVを貼ったうえで、さっそく続きを見ていこう。

その1はこちらから。 

 

 

 

 

 

 

 

7.モノクロの映像

モノクローム、いわゆるモノクロにすることによって、余計な情報は与えず曲の良さだけを伝える効果がある。そのためモノクロのMVには比較的名曲が多い。比較的新しいバンドのモノクロのMVも多く存在してはいるが、ここでは「モノクロのMVには名曲が多い」という理論を説明するため、少し年代を遡った曲たちをピックアップする。

 

 


山崎まさよし / One more time,One more chance

山崎まさよしの名曲といえばこの曲である。モノクロは意図的に古い映像である演出をできるが、この曲が発売されたのは1997年のことであり、まだ22年ほどしか経っていない。いわば白黒演出の先駆けに近い。

 

 

 


スピッツ / ロビンソン

モノクロのMVと言えば、これを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。紛うことなき名曲であり、スピッツにとって最大のヒットソングだった。ちなみにこの曲は1995年に発売された。

 

 

 


今宵の月のように/エレファントカシマシ

エレファントカシマシからはこちらの曲を。ボーカルの宮本さんの一人歌うシーンがモノクロになっている。ちなみにこの曲も1997年にリリースされた。

 

 

 


清 竜人 - 痛いよ

清竜人の曲で一番有名な曲と言えばこの曲になるだろう。モノクロームの映像による情報量の少なさがとても良い効果を与えている。前述のエレファントカシマシのMVにとても影響を受けたのではないだろうかと思える、そっくりなMV。

 

 

 


椎名林檎 - NIPPON

他にもモノクロMVはいろいろあるけれど、あえてこれを選んだのは個人的な趣味である。ただのモノクロの映像の中にも、スポットライトや全体の光の当て方によって、変化をつけているのがお分かりいただけるだろうか。この映像の中で使われた色は、白と黒を除いて青と赤だけであり、それが白黒の映像の中にポンと現れることでとても強いアクセントになる。

他にもモノクロMVは数えきれないほどあるので、それだけに注目して見比べてみるのも面白いだろう。

 

 

 

8.淡い映像

淡い映像が見ている人に与える感情は「なつかしさ」である。

それには2種類の撮り方があり、1つは一般的なアフターエフェクトなどの動画編集ソフトによって後付けされる撮り方、もう1つはあまり使われないがオールドレンズなどを使うことによって最初から淡い映像に仕上げてしまう方法だ。大抵の場合は前者だろう。

 

 


YeYe - ゆらゆら(Official Music Video)

まさに淡い映像である。淡い映像を用いたMVはストーリー性があるMVに多い。

 

 

 


安藤裕子 / 海原の月

淡くて、不思議な世界観を表現しているMVといえばこちらの安藤裕子さんのMVだ。

不穏な映像もあるのに、曲の安心感が相反して存在している。YeYeのMVに比べ、ストーリー性があまりなく、その分カット割りが多くなっている。落ち着きがないといえばそれまでだが、その分テンポの良さが魅力的に感じられる。

 

 

 


ふたりごと RADWIMPS MV

淡さは激しさとは結び付かないため、こういった内容的に落ち着いた楽曲が向いている。スローモーションとも相性がいい。淡い映像と学校の組み合わせは無敵である。

 

 

 


【MV】色々/藤岡みなみ&ザ・モローンズ

淡い映像では女の子が可愛く見える。

 

 

 

9.わざとザラついた映像


きのこ帝国 - 桜が咲く前に

全体的に淡い映像が使われているが、その中で回想シーンを用いる時に使いがちなのはこの「ザラついた映像」である。もっぱら8mmフィルム風のエフェクトをつけることが多い。その時に重要なのは3分6秒あたりのシーンで見られるような光漏れ、いわゆるライトリークである。これがあるのと無いのとでは印象が結構変わる。ライトリークが存在するのはフィルムだけで、淡い映像にはそれらは出てこない。

 

 

 


mol-74 - エイプリル【MV】

フィルム写真のスライドショー、淡い映像、スローモーション、これらの映像編集を効果的に配置すると、曲の世界観をとても上手に表現できる。

1分52秒あたりのシーンで、目の前を標識が素早く過ぎてゆくが、この画面下側の方が先に通りすぎるのはiPhoneならではの映像であり、これはアプリによる撮影だと考えられる。

 

 

 


星野源 - くせのうた【Music Video】/ Gen Hoshino - Kuse no Uta

星野源からはこちらの曲。ちなみにこの曲は本当の8mmフィルムカメラを使って撮影されている。撮影はあのKANA-BOONの『ないものねだり』やチャットモンチーの『いたちごっこ』のMVを担当した山岸聖太さんによるものだ。

こちらのMVでは、8mmフィルムの映像にアニメーションが追加され、他とは一味違う演出がなされている。この点がやはり、セミプロと真似事にはならないプロの違いなのではないだろうか。

 

 

 

10.無意味に分身するよね

分身するのは簡単だ。ブルーバックやグリーンバックなどと呼ばれる背景の前に立つだけでいい。ちなみに本当の名前はクロマキー合成である。

無意味に分身するMV、これは案外見つけるのが大変だった。「あるある」っぽいようで意外と「あるある」ではないかもしれないが、それっぽい映像はいくつかあったので、いくつか挙げてみる。

 

 


BRADIO-Flyers【TVアニメ「デス・パレード」OP曲】(OFFICIAL VIDEO)

その分身しているシーンは44秒あたりから。一人だけより何人もいた方がコミカルな映像になり、見ている人も楽しめる。そういった効果がある。

 

 

 


Earth, Wind & Fire - September (Official Music Video)

これは分身ではないが、BRADIO-Flyers-のMVはこれを彷彿とさせる。

 

 

 


ハルカトミユキ 『その日がきたら』

3分22秒あたりのシーンでハルカトミユキのミユキさんが分身している。分身することで、奇妙さも生まれる。

 

 

 


Jamie xx - Gosh

これは分身ではないが、大量の同じ格好をした人を使ったMVという点では同じだ。これはほとんどCGを使っていない。アルビノの人とこの大量の人。妙な心地を覚えることだろう。

 

 

 

続きは「その3」で。